10月28日(土)の小講演会について
ぼくの書斎部屋の右方には、樹木の名はわからないのだが、空に突き出して伸びた隣家の二本の樹木が見える。そして、その後方には、先史時代、この地域の豪族が造成したであろう古墳跡の樹木群が見える。 多摩川を遡航してくると、目の前の古墳は右手高台に位置することになる。古墳の表面は葺石で覆われていたわけだから、遡航してきた船から見ると、鬱蒼とした緑のなか、太陽に光を受けた古墳は、ぴかぴかに輝いていたに違いない。ただし、それは遠い過去の記憶となる。かつての古墳には、いまは神社が営まれている。そして神社は小さいながらも森に囲まれている。川面から見ると、それは河岸段丘に広がる森の一部となってしまった。
東京ではここ数日、秋の晴天が続き、「常秋」とでも名付けたい気持ちのいい風が吹いていた。そして、今日は昨夜からの雨である。昨日まで、隣家の二本の樹木は、秋の陽射しのなかぴかぴかにその表葉を輝かせていた。今朝は、雨に濡れて重たげである。
そんな風なことをぼんやりと思いながら、この10月28日に学生諸君が計画している小講演会で話す内容を考えている。北朝鮮の核実験の波紋は、北東アジアに住む人びとにとって、ざわついた危機意識をもたらした。戦争へのシナリオを描いてみせる評論家やマスメディアの商業主義の臭いのする言葉、まるで蜘蛛が吐き出す糸のような言葉に、人びとは思わず絡め取られていくようにも見える。テーマは、いま熟考執筆中の「戦争の記憶と特攻」についてということであるが、見えている現実を離れて、ものは考えられない。21世紀初頭の北東アジアに住んでいるぼくとして、目の前に見える樹木の景色同様、目には見えないが惻々と感知されるものがある。戦争という人間の生み出した思想に、どうにか切り結んでいきたい。
*講演会の情報については、早稲田大学近くで、10月28日午後3時からという情報し か、ぼく自身も知りません。会場などについては、企画している新人会の坂入君から連絡を受けて、25日くらいに告知します。
10月 23, 2006 0. 緊急のお知らせ | Permalink
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