【宏究学舎】2002年秋季講座開講
■テーマ■
『歴史の空間と思想』 ~戦後日本の思想と大衆の位置~
すでに2002年ともなり、現代が「戦後」という括りで、とらえられないとする論考が多くなってきた。世界は、アメリカを中心とするグローバリゼーションに組み込まれる一方で、ファンダメンタリズム(原理主義)の狭隘な世界観がテロリズムを生み、日本はそのなかで、自らのアイディンティテーをどこに求めようとしているのか、まさに漂流して状況だと評されてもいる。しかも、漂流は、日本という国家の状況を示すだけではなく、いまわれわれが依拠しているこの市民社会という共同幻想をも液状化せしめている。
たしかに、いまさら「戦後」でもあるまいと思うことは多いものの、では、「戦後」の問題は霧散したのであろうか。いや、おそらくは「戦後」57年、日本人は「戦後」を回避し続けてきた。そのおざなりにされた問題の上に、われわれはいくつかの厚化粧を施して、この時代を表層的に滑ってきたのではないだろうか。
「戦後」の問題でつねに大きな存在は、「大衆」だったにちがいない。しかしながら、思想家は「大衆」にたいし正面から向きあったことがあったろうか。大衆は、つねに「見えない存在」であり、「声なき声」とされてなかったか。
そこで、本講座では、鶴見俊輔をテクストとして、「戦後日本の思想と大衆の位置」について、論考したいと思う。自らのアイディンティテーの模索にとどまらず、グローバリゼーションという立論の曖昧さにも着目して、思想の置き場所についての方向性も丁寧に考えてみたい。
■テクスト■
『戦時期日本の精神史』『戦後日本の大衆文化史』
鶴見俊輔著(岩波書店)
9月 5, 2002 3. 宏究学舎 | Permalink
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