« 【エッセイ】六月雑感 | トップページ | 【エッセイ】ギ~ラギラ、太陽が~ »

2001年7月 3日 (火)

【エッセイ】夏は受験の天王山だ!

 「夏は受験の天王山だ!」という言葉は、昔からあった。少なくともボクが受験したころ、う~ん……いまから三〇年以上も前のことだけど、確かにあった。で、そのころのボクが夏に勉強したかっていうと……。
 高校三年のとき、田舎にすんでいたボクは、花の都東京に行きたくて、予備校の夏期講習を受けたいと、気まぐれに親にねだった。そしたら、親は、なにを思ったのか、七月に入っていきなり、予備校に行っていいぞ、と言いだした。親の家計を考えると、とんでもない贅沢だったが、そんなわけで、ボクは東京に出てきた。
 で、勉強はどうだったかというと、もとより勉強より、東京に親しみたかったボクは、予備校の冷房が思いの外、冷たいことを口実に、三日で予備校の授業からエスケープしてしまった。それに正直言って、予備校の授業は、なんか役に立つように思えなかった。当時、ボクの通った予備校はコース制で、授業は五日づつ二〇日間あった。それを三日でエスケープ。まったくもって、いまでも親に申し訳がない。
 じゃあ、何をしていたのかっていえば、親の知人の家に泊めてもらっていたボクは、朝、予備校に行くフリをして、家を出なくちゃならない。家を出て、まずは図書館へ行って、午前中は田舎では手に入らない雑誌や本を読む。で、午後は、たいてい映画を見に行く。東京では、安い映画館がいっぱいあることは、田舎で研究ずみだった。おこづかいも、そのために貯めていた。そしてそれ以外は、東大や慶應、早稲田などの大学めぐり、立教や法政、明治もいったし、当時、柴田翔の小説『されどわれらが日々』が流行っていて、その影響からか、ヒロインの母校、東京女子大もいった。かなりミーハー。
 勉強はそっちのけで、映画を見て、大学のキャンパスで、来年は、ここに来るぞなんて大それたことを考え、すっかり大学生気取りで、大学のベンチで、サルトルだのカフカ、あるいは大江健三郎や小林秀雄、おまけに歴史学の本など、とにかく難しげな本ばかりを読んだりして、なんて「青春!」してたんだろう。
 「夏は受験の天王山だ!」。確かに、この時期集中して勉強すれば、秋口から実力はつく。日本史・世界史でいえば、予備校の夏期講習を受け、この時期にしゃにむに「近現代史」をマスターして、一通り、全時代の動きをつかんでおくことは大切である。あるは、事件や人名は少なくとも、この時期の覚えておきたい。英語や数学も、問題量をこなすには、この時期をおいてほかにはないのかもしれない。
 そんな時期、ボクは、予備校をサボって、好きな本や映画に浸りきっていた。でも、いま考えれば、こんなに集中して本だの映画などを観た時期はなかった。花の都東京で、想像できないくらい自由な時間を過ごした。
 さてさて、翌年の受験である。夏に遊びすぎた結果、その後の模試は散々たるものだった。 一〇月ぐらいから、モーレツに焦った。夏の遅れを取り戻さねば。受験の結果は、とーぜん……と思いきや、なんとか花の都東京の三田にある大学にすべり込んだ。もしかして、夏の遊びすぎが、受験への集中力を生んだかも……。やはり、夏は受験の天王山なのである。

注)このエッセイは2001年7月に載せたものを再度寄稿しております。

7月 3, 2001 4. エッセイ |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519274/42227465

この記事へのトラックバック一覧です: 【エッセイ】夏は受験の天王山だ!:

コメント

コメントを書く