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2001年4月 1日 (日)

【エッセイ】変身願望について

 人には変身したいという願望がある。それはなにも姿や形での変身にとどまらない。君たちが、弁護士や医者、あるいは作家になりたいなどと思う希望も、現在の自分ではない、何ものかになってみたいという変身願望なのだ。
 ある精神科医の話だが、人間の変身願望には、大きく分けて三つのパターンがあるという。一つは、特権的な力を求める権力志向型、次に憧れる対象に近づきたいという模倣型、三つ目には、現在の自分や周りの環境から脱出したいという逃避型。
 しかし、ここで考えなければならないことがある。たとえば「大学で何をしたいのか」と受験生に質問すると、多くの受験生は、大学に入学しさえすれば、いままでの自分と大きく変わった自分がそこにあるという単純な想像をしている場合が多い。大学に入れば、たくさん友人ができ、英語のほかもう一カ国くらいの言葉ができるようになり、法学部に入れば、司法試験なんかも通過できるくらいの学力がつき、また教養も高まるにちがいないとふんでいる感じなのだ。
 でも、残念ながら、そんなに事態は甘くない。結局、友人はむこうから近づいてくるものではなく、君自身が魅力的であったり、あるいは君の積極的な働きかけがなければ関係は成立しない。語学も司法試験も、大学という環境で解決されることではなく、あくまでも君自身にかかっているのである。
 変身は、誰でも憧れる強い願望である。しかし、変身とは、ある日突然、劇的に訪れるものではない。儚い夢で終わらない君自身の変身は、現在の君自身のあり方そのものによって導き出される結果という形で表現されるものなのだ。

注)このエッセイは2001年4月に載せたものを再度寄稿しております。

4月 1, 2001 4. エッセイ |

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